4月から新人職員として働き始めた私は、いい人たちに恵まれて、仕事をスタートさせることができた。
半年間は試用期間なので、注意するよう言われていたけど、特段何か問題を起こすようなこともなく日々は過ぎていた。
ところがまだ試用期間の最中に、私には何も言わずに父と母は2件目の貸家を手に入れようと画策していて、銀行にローン申し込みに行っていた。
2件目の…ってことは1件目があって、私が短大に行っていて実家を離れていた頃手に入れたらしく、小さい家だけど1階は店舗で2階は住居だからダブルで収入があるのだ。
しかも駅近だからいい金額の家賃が入る。
年齢的に父はもうローンが組めないと言われたとか。
2件目のその物件を気に入ったのは父だったらしい。
銀行は、私が就職したばかりなので、いくら公務員でも1年経過しないとダメだと断られたらしい。
当たり前だ。
そこで諦めきれない父母は私を保証人にすることにした。
母は早くから家を持つのは良いと言って、娘に家を持たせるなんて恵まれてる事だと言った。
就職したばかりで家を買うなんて嫌だとも言えず、心に引っかかっていたけど。
契約の時に必要な実印登録を父母で出向いて、当たり前だけど、本人じゃないとできないって市役所で断られた。
配属先に電話が来て、私は仕事中なのに引っ張りだされて連れていかれ、実印登録をした。
強引に連れていかれた。
そして見たこともない家のローンが始まり、月に12万円引き落とされる生活が始まった。
その頃手取り15万円ちょっとで、社会保障以外は引かれるものはなかった。
ちなみに購入したその家は、父が気に入って欲しくなって、母が私を保証人にすることにしたようだ。
やっと自由なお金が手に入ると思ったら右から左だった。
ボーナスはそのままにしてあげるからと言われてそこそこ遊ぶくらいはなんとかなったが。
数年して母との関係が悪くなり、家の支払いが辛いからやめたい言うと、今まで払った分は返さないと言うのでそれでも良いと言った。
ウチの財産はいらないと念書書けと言うので書いて実印も押した。
200万円以上は払い損で、親は、その家から家賃が入っていたからローンに困らなかったようだ。
ちなみに20年後ぐらいに手放すことになり、私にいいかと聞いてきたけど、お金は返してくれなかった。
売却の時に保証人は何も手続きがいらないものだということを初めて知ったし、なんなら名義がないこともその時改めて知った。
子どもの時に、他人の保証人はなるもんじゃないと言われていたのに。
